Carry-In-Project Tottori

鳥取での上演に向けて

Tottori_research 029

まいどお世話になっております危口です。
昨年夏のスイスツアー以来、特に次の予定もなかった[搬入プロジェクト]ですが、
キュレイターの赤井あずみさんからのお誘いで、鳥取での上演が決まりました。

赤井さんは、現在鳥取大学地域学部にて講師をされている方です。
その前はトーキョーワンダーサイトにお勤めされていたそうです。
というわけで今回の話はTWSつながりで来たわけです。

滞在してた頃はTWSを茶化すような作品ばかりやってた俺ですが、
結局こうしてありがたいお話を頂けてるわけで、職員の方々には超感謝しています。
ホントありがとうございます。

とはいえ、食うに食えない演劇だのアートだのに
身をやつしている者としては色々考えることもあるわけで、
そんな問題意識も反映させつつこの鳥取搬入に取り組んでみるつもりです。
というわけで、今回の主題として以下の3点を提案しておきます。

(1)装飾
これまでの搬入プロジェクトは、
「入らなそうでギリギリ入る物体を造り、みんなで搬入してみる」というルールのもと、
過度な装飾や外連の類は排してきました。
とはいえ、あまりにも地味だと(主に作ってる側がですが)盛り上がらないので、
物体を覆う皮膜は、赤いフェイクファーや金色のフィルムシート、和風装飾の畳縁などを使用することもありました。
これらの素材は、特に深い考えもなく、直感で決めたものばかりです。

しかし今回は、上演後の物体がそのまま会場内で展示されるということもあって、
物体自体をいかに魅力的に仕上げるか、展示品としていかに配置するか、
という点にも配慮しながら進めていこうと思っています。

(2)記録
上演後の展示では、準備や上演の様子をおさめた記録映像も上映される予定です。
これに関しても、パフォーマンス作品の記録はいかに作るべきか、残すべきか、という問題があります。
記録って……
本番に来られなかった人のための代替物にすぎないのか?
或いは、報告書提出の際の添え物でいいのか?
記録映像としての魅力を最大限引き出せるアイデアはないのか?

(3)土地との関係
搬入プロジェクトは、場所も参加者も選ばない特殊な演目であり、
これまでも様々な土地・会場で上演してきました。
この中で育まれた問題意識があります。
地方における「アート」の在り方のことです。

俺は、演劇をやっている者として、
或いは観光地である倉敷で生まれ育った人間として、
「観光地とは土地の演技だ」と言ったことがあります。
生まれ持った特質や、生きていく中で培った能力・蓄積を商品化し、
外部に開いていくという点において、観光地化と演技はよく似ています。

もちろん程度の差はあります。
ディズニーランドのように、生活の場ではないものから、
基本的に地域住民の暮らしを優先し、
観光地としてはそれほどアピールしていないような土地もあります。
また、白川郷のように、暮らしそのものも見どころとして提示する方法もあります。

いま、日本では(似たような状況の他の国もあるのかな)、
地方を舞台にしたアートイベントが増えています。
その要因はいろいろあると思いますが、パッと思いつくまま挙げてみれば、
-かつての箱モノ行政への反省
-観光政策と結びついた地域振興策、
-旧市街や古くなった建物の再利用、活性化……といったところでしょうか。

そういったイベントのひとつであり、また成功例としても知られる
「瀬戸内国際芸術祭2010」に、この搬入プロジェクトも参加しました。
現地での体験は素晴らしいものでしたが、

一方でイベントを快く思わない人たちがいたのも事実です。
万人に好まれるものなど この地上に何一つとして存在しない、ってことは理解していますが、
それでも自分なりに抵抗はしたいものです。
たとえ気に入られなくとも、それが在ることを認めてもらうにはどうすべきか。

以上、3点を意識しながら美しい解決策を考えていくつもりです。

きぐち

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This entry was posted on January 17, 2013 by in 計画案, 文章.